就活に嘘は必要? ~就活における「ウソ」のメリット、デメリット~
就職活動。特に日本においては新卒一括採用が大半を占め、今年は景気がいいとはいえども、どの会社も競争が激しく、就活生にとってはかなりのチャレンジになります。
その中で就職活動を決定的に決めるのがESと面接です。
ここにきて多くの就活生は迷います。なぜなら、この二つはこれまでの高校、大学入試で経験してきたような「正解」がないからです。
ここで聞かれるのは会社によって差はあるものの、多くは志望動機、そして自己PRです。しかしこれは証拠をとったり、客観的な精査が求められたりするものではないので実はつようと思えばいくらでも自分をよく見せるための嘘がつけます。
そのため、「口先だけの嘘をベラベラしゃべれるやつばっかりが先に内定を取る。」
面接の時期が始まるとこうを感じる人は少なくありません。
その分、これまで正直に、愚直に生きてきて内定を取れない学生は自信を失ってしまったり、焦って変に嘘を付き始めて迷走してしまったりすることもあります。
本当に就活に嘘は必要なのか?
今日はそんなことを考察します。
嘘が通じやすい会社とそうでない会社
世の中にはいろんな会社があるので、採用面接自体にも嘘が通じやすい会社、通じにくい会社というはやっぱりあります。なぜ、そうなっているのか、それぞれ理由があるのでそこに問いを立てることも重要です。
嘘が通じやすい会社
これは主に二種類あると思います。
①嘘が見抜けない会社
②嘘を黙認している会社
まず前者は内定が取れてもあまり入らないほうがいいと思います。
なぜなら二つの意味で入社後に苦労する可能性が高いからです。
通常、面接は平社員⇒人事⇒役員、もしくは部長レベルというプロセスを経て内定が出ます。この過程で誰ひとり大学生の嘘を見抜けないというのは正直ビジネスにおいて信用できるレベルじゃないと思います。ビジネスはある面では騙しあいです。また、人事が面接における自分が本当だと思っている以上、配属やその後のキャリアはESや面接で表現された「自分」をベースに築かれる、つまり本当はやりたくも何ともないことをやらされる可能性が高く、正直これは結構不幸なことです。
後者について。これは「入ったもん勝ち」という会社です。
多いのは大量採用を行っている会社でしょう。採用人数が100人を超えるような会社は正直、全員をしっかりとみている余裕なんてありません。また、内定辞退も見越して大目に内定を出していることもあります。この場合、前者よりかは入社後がフラットになるので、そこから新たに頑張りなおす、ということも可能かもしれません。
また、業態によっては本当かどうかよりも筋が通っているか見られている場合もありますが、これを嘘でやりきる場合、かなりの技量がいります。
◆嘘が通じにくい会社
これは真逆で、採用人数が少ない会社、そしては人材を重要な資本としている会社でしょう。ちょっとわかりにくいかもしれませんが、銀行やメーカーは通常、資本や技術を武器に戦っているため、正直人材は少数の経営層+大多数の兵隊という構造で成り立っており、多少人材の質が落ちても上位層にいい人材をそろえられれば全体に悪影響は及ぼしません。しかし、一方でコンサルや多くのベンチャーは人材こそが生命線であり、嘘で入社してしまい、ミスマッチ辞めたり使えないとなると、会社としてはかなりの損失になります。
そのため、面接はかなりしっかりしており、また面接官も相当頭のキレがいいので下手な嘘を付いてしまうとすぐ見破られます。会社によっては就活生の個性に合わせて面接をオーダーメイドしているところもあるそうです。こういうところでは小細工は逆効果です。正面突破で愚直に臨みましょう。
つくべき嘘とつかないほうがいい嘘
とはいえ、どうしても就活では嘘を付かざるを得ない場面もあります。どんな場面があるでしょう?具体的に考えてみましょう。
◆志望度について
これは基本的には「御社が第一志望」というべきです。内定辞退リスクを考えると相当優秀でない限り、第一志望以外の学生なんて取りたくないからです。
ただ、正直すべての会社で「御社が第一志望」とオウムのように繰り返すのは嘘を付くのが苦手な人にはちょっとしんどいでしょう。きっと数社も回っているうちに感情が入らなくなってきて、すぐに嘘が見破られてしまうようになってしまうかもしれません。
なのでそういうときは「第一志望の一つ」という表現を使ったらどうでしょうか?
そうなると、おそらく面接官はほかの第一志望についても聞いてくると思うので、そうなった時にはほかの企業と受けている企業を比べ、受けている企業のいいところを言ってあげればおそらく、面接官は「この子は曲がりなりにも真剣にうちの会社を考えてくれてるんだな」、と「第一志望です」の一点張りよりかは説得力が増すと思います。
◆これまで力を入れてきたことについて
これはあまり嘘を付かないほうがいいと思います。
大体、就活ウケするエピソードや活動というのはテンプレ化しており、例えばサークルの代表、ボランティア、ビジコン、などはかなり大多数の学生が就活のネタにしようとします。なので嘘を付けばつくほど被りやすくなります。正直、面接官はこの手の話は聞き飽きており、あまり関心を持ってもらえない可能性が高いです。なので、無理に経歴盛ったり嘘でごまかしたりするよりかは、小さくても構わないので自分しか体験してなさそうなことを探してみたほうがいいかもしれません。
つまるところ、正直でいるのは損か?
ここまで見てきたように就活では嘘を付いたほうが有利になる局面があることも事実です。
しかし、もっと長いスケールで考えましょう。
自分の将来について愚直に悩み、正直に答え面接で落とされる。これは確かにかなりしんどい経験です。しかし、その経験こそが自分の将来について真剣に考える機会であることは間違いありません。
個人的な経験ですが僕は学部時代に就活に失敗しています。
嘘が下手なのはわかっていたので、愚直に自分がやりたいこと、やってきたことを語りました。そして全落ちしました。
しかし、そうして悩んで大学院進学し、もう一度やりたいこと、やってきたことを愚直に語り、今度は内定をいただくことが出来ました。受けた会社は学部時代とは全く違う業界でした。
学部時代に落ちた理由は嘘がつけなかったからではなく、自分の将来に関する考察が足りず、ちゃんと受けるべき会社を受けられていなかったからだと感じています。
大切なのは嘘や小手先のテクニックを使うかどうかではなく、自分の将来について真剣に考えられるかどうかどうかです。
嘘が苦手な人は正直に伝え、落ちることを恐れないでください。そして、絶対に自信をなくさないでください。その会社はあなたに能力がないから落としたわけではなく、あなたを幸せにできないから落としているのです。
そしてなぜその会社とは合わなかったのか、自分がどんな会社に合っているのか、真剣に悩み続けてください。
世の中には何万社も会社があります。きっと最後に正直なあなたを受け入れてくれる会社は現れます。
そこでの社会人生活はきっと、何も悩まず嘘ついて入社した人の何倍も幸せなものになるでしょう。